譲渡所得の確定申告
1 譲渡所得と計算方法
譲渡所得は、一般的に、不動産や株式などの資産を譲渡することによって生じる所得のことをいいます。
譲渡所得の金額は、譲渡価額(売却価格)から取得費(取得価額)と譲渡費用(売却にかかる費用)を差し引いて算出します。
そして、譲渡所得に税率をかけ、譲渡所得税の計算をして、確定申告書を作成します。
なお、譲渡費用(売却にかかる費用)として、よく発生するのは、仲介手数料、解体費用、測量費、印紙代、といったものがあります。
不動産においては、所有年数によって税率が異なっており、譲渡所得における所得税の税率は、長期譲渡所得の場合は15.315%、短期譲渡所得の場合は30.63%です。
更に、住民税も発生します。
所得税は、譲渡の翌年の3月15日までに申告及び納税を行う必要があり、住民税は、6月以降に、4回に分けて、納税することになります。
2 譲渡価額を算出するうえでの注意点
譲渡価額には、売却代金や固定資産税・都市計画税の清算金が含まれます。
単純に売買代金のみが譲渡価額となるわけでないことに注意が必要です。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日の不動産の所有者に課税されます。
そのため、例えば、1月2日に不動産が売却された場合、1年のうち364日間土地を所有することになる買主には、固定資産税が制度上課税されることはありません。
しかし、不動産を取得する以上、所有する期間に対応する固定資産税は負担すべきであるという考え方のもと、買主は、売主から不動産を売却する年に買主がその不動産を保有することになる期間に相当する固定資産税・都市計画税を受け取ることが不動産取引の慣行となっています。
このお金のやり取りを固定資産税・都市計画税の清算金と呼び、譲渡価額に含まれるため注意が必要です。
確定申告の際には、譲渡価額に漏れがないようにチェックをすることが重要となります。
3 取得費について
取得費は、譲渡する物を取得するために要した費用を意味し、基本的には、売却する不動産を過去に取得した際の購入金額となります。
譲渡する物の購入金額が分からない場合には、譲渡価額の5%が取得費となります。
これを概算取得費といいます。
また、譲渡する物が相続等により取得したもので、かつ、相続の際に、相続税を納めている場合には、一定の要件のもとに、相続税も取得費とすることができます。
このように、譲渡所得を計算する際には、気を付けるべき点が多数あります。
譲渡所得の計算においては、正確な情報が必要であり、仮装隠蔽がある場合には、税務署が厳しい対応をしてくることもありますので、適切な申告をするため、譲渡所得が発生する方は税理士に相談することをおすすめします。