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夫婦間の贈与に関するQ&A

  • 文責:所長 税理士 古田裕佳
  • 最終更新日:2024年1月17日

夫婦間の贈与であれば、贈与税はかかりませんか?

夫婦間の贈与であっても、子供や第三者に贈与する場合と同様に、贈与税がかかるかどうか検討が必要になります。

たとえば、年間110万円を超える夫婦間の高額なプレゼントや、著しく低い価額で土地や建物等の高価な物の譲渡を受けた場合などです。

他方で、夫婦は互いに扶養義務を負い、生活を共同しているのですから、生活費について贈与と言われる可能性は低いです。

このように、夫婦間であっても、一定の場合は、贈与税がかかりますので、「夫婦間の贈与であれば、贈与税は心配ない」と考え、贈与税の申告をしないままでいると、税務調査に入られる場合や、追加で多額の贈与税を支払わなくてはならない場合があるかもしれませんので、ご注意ください。

どのような場合に、夫婦間で贈与税がかかりますか?

基本的に年間110万円を超える贈与には、贈与税がかかります。

他に、見落としがちなものとしては、以下の①~⑤のケースも贈与税がかかる場合があります。

①自分が保険料を負担しないのに、生命保険や損害保険の保険金を受け取った場合

②著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合

③対価なく、借金の免除をしてもらった場合

④対価なく、不動産や株券の名義を自分にしてもらった場合

⑤返せる見込みもないのに、配偶者から無利息で多額の借金をした場合

特に、④について、土地や建物を購入する際、お金を出していないにも関わらず、名義を夫婦の共有名義にした場合、贈与税がかかることがありますので、注意が必要です。

たとえば、3000万円の不動産を購入する際、夫が3000万円全額支出したが、名義は夫婦で2分の1ずつだったという場合、夫が妻に、1500万円分の権利を贈与したとして、その分の贈与税が課せられることがあります。

他にも、ローンを2分の1ずつ組んで不動産を購入しているにもかかわらず、夫だけがローンを返済している場合にも贈与税が課される可能性があります。

このように、対価なく、名義を自分にしてもらう場合や、ローンを肩代わりする場合には、贈与税がかかる可能性があります。

贈与税に関してご不安な場合は、一度、贈与税に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。

夫婦間で贈与税がかからない場合はありますか?

夫婦間の贈与であっても、贈与税がかからない場合があります。

以下では、代表的なものとして、3つのパターンをご紹介します。

⑴ 年間110万円以下の贈与

もらった財産額が年間110万円以下なら、贈与税はかかりません。

具体的には、夫婦間に関わらず贈与の基本ルールとして、1月1日から12月31日までの1年間に貰った財産額が110万円以内の場合、贈与税はかからず、贈与税の申告も不要となります。

そのため、夫が妻に年間110万円の現金を贈与した場合や、110万円以内の高級腕時計をプレゼントした場合は、贈与税がかかりません。

なお、110万円以内の贈与に関しては、1年間を通して受け取った額が110万円以内という意味ですので、たとえば、夫から100万、両親から100万を貰った場合は、年間110万円の非課税枠を超えますので、贈与税の申告が必要となります。

⑵ 生活費・教育費にあてるための贈与

国税庁は、「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」であれば、贈与税がかからないというと判断しています。

参考リンク:国税庁・贈与税がかからない場合

そのため、夫が妻に対して、生活費として毎月20万円を妻に手渡していても贈与税の対象とはならず、贈与税の申告も不要です。

この「通常必要と認められるもの」という部分ですが、生活費であればあくまで日常生活に必要なものに限定され、生活に必要ではない高額なものを贈与した場合には、嗜好品として贈与税がかかる場合があります。

また、夫が妻に対して、給料を全て生活費として手渡しをして、妻はその一部を生活費として使い、残りは妻名義の通帳に貯蓄しているという場合には、相続の際に課税関係が問題になることがありますので、生活費は必要な分だけ渡すことをおすすめします。

⑶ おしどり贈与の特例を利用した場合

おしどり贈与とは、簡単にいうと、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、生活を送るための不動産もしくはそれを取得するための金銭の贈与があった場合、2000万円まで贈与税がかからないという特例です。

この制度を利用した場合、たとえ2000万円の贈与であっても、贈与税はかかりません。

なお、おしどり贈与を使う場合は、特例の適用により贈与税がかからなくなったとしても、必ず、申告が必要となりますので、注意が必要です。

万が一、申告をしなかった場合、特例が使えず、贈与税を支払う必要があります。

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