確定申告をしなかった場合のQ&A
会社員が確定申告しないとどうなりますか?
会社員は、会社から毎月給料が支払われるタイミングで、概算ではありますが所得税を給料から天引きという形で徴収されています。
この仕組みを源泉徴収といいます。
会社は、毎月又は半年に一度、この源泉徴収した所得税を税務署に納めます。
さらに、年末に、会社は1年間の総収入および税額を再計算し、正確に所得税の計算をして、精算をします。
この手続きを年末調整といいます。
年末調整がなされていると、一旦、正確に所得税の計算がされますので、確定申告が原則として不要となります。
ただし、会社での給与以外の所得がある場合には、会社の年末調整とは別に、給与以外の所得に課税される所得税を計算し、納付する必要が生じます。
例えば、国は、会社での給与以外の不動産所得や譲渡所得が20万円以上ある場合には、確定申告をしなければならないというルールを定めています。
このような場合に確定申告をしなければ、本来納付すべきであった所得税だけでなく、無申告加算税や延滞税といった追加の税金が課されるおそれがあります。
また、医療費控除といった年末調整では控除されない所得控除がある場合には、確定申告を行って控除を受けることにより、納付すべき所得税額が減り、その結果、毎月の給与から天引きされていた所得税の一部が還付されることとなります。
他にも、ふるさと納税をワンストップ特例の適用なしに行っていた場合には、寄付金控除を受けるために自分で確定申告をする必要があります。
このように、給与から天引きされていた所得税の還付を受けたい場合には、自ら確定申告を行う必要があります。
この税金の還付を受ける手続きを更正の請求といい、法定申告期限から5年以内に行う必要があります。
確定申告をしないと税金が増えるって本当ですか?
原則として、確定申告の際には、毎年3月15日までに税務署に申告書を提出し、税金を納付する必要があります。
申告義務があるにも関わらず、申告しなかった場合には、無申告加算税というペナルティが課されることとなります。
無申告加算税は、税務調査を受けた場合には、本来納付すべき税額に対して50万円までは15パーセント、50万円を超える部分に関しては20パーセントの割合で加算された税金を支払うことになります。
さらに税制改正があり、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税については、納付すべき税額が300万円を超える場合には30パーセントの割合で加算されることになります。
税務調査の連絡が来る前に自主的に期限後申告した場合には本来納付すべき税額に対して50万円までは10パーセント、50万円を超える部分については15パーセントの割合で加算された税金を支払うことになります。
さらに税制改正があり、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税については、納付すべき税額が300万円を超える場合には25パーセントの割合で加算されることになります。
さらに、確定申告をしなかったことについて、仮装又は隠ぺいがあった場合には、非常に悪質であるとみなされ、重加算税という本来納付すべき税額に対して50パーセント加算されるという重いペナルティが課されます。
この税率は、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来する場合に、適用されます。
また、本来納付すべき税金の納付が遅れることについてのペナルティを、延滞税といいます。
延滞税率は、令和5年時点では、申告期限を過ぎて2か月までは年2.4パーセント、2か月を過ぎると年8.7パーセントとされています。