相続税と加算税

納税者が適切な内容の相続税申告を行うことができなかった場合や、適切な時期に相続税申告を行うことができなかった場合に、通常の税額に上乗せしてペナルティとして加算税が課されることがあります。

相続税に課せられる可能性のある加算税としては、「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」「延滞税」等が挙げられます。

以下では、それぞれの加算税がどのようなケースで課されるのか、またどれくらいの金額が課されるのか等について説明いたします。

過少申告加算税は、相続税申告書が期限内に提出されているものの、申告した税額が、本来納めるべき正しい金額よりも少ない場合に課される税金です。

申告した相続税の額が正しい金額よりも少ない場合は、修正申告を行って、不足していた税額を追加で納める必要があります。

過少申告加算税は、この追加納税の際に合わせて納めることになります。

申告期限の翌日から調査通知されるまでの間に修正申告をすれば、過少申告加算税は課されません。

調査通知されてから調査による更正等の予知前（税務署からの指摘を納税者が予知する前）に修正申告した場合は、原則５％の過少申告加算税が課され、期限内申告税額と５０万円のいずれか多い額を超える部分には１０％の過少申告加算税が課されます。

調査による更正等の予知以後に修正申告をした場合は、原則１０％が課税され、期限内申告税額と５０万円のいずれか多い額を超える部分には１５％の過少申告加算税が課されます。

無申告加算税は、申告書を期限内に正当な理由なく提出しなかった場合に課される税金です。

申告期限の翌日から調査通知前までの間に、期限後申告をすれば、５％の無申告加算税ですみます。

なお、申告期限から1か月以内に自主的に申告し、かつ期限内申告の意思があったと認められる一定の場合に該当する場合には、無申告加算税は免除されます。

調査通知されてから調査による更正等の予知前までの間に、期限後申告をした場合は、原則１０％の無申告加算税が課され、５０万円超え～３００万円以下の部分は１５％の無申告加算税が課されます。

また、３００万円を超える部分については、２５％の無申告加算税が課されます。

調査による更正等の予知以後に、期限後申告をした場合は、原則１５％の無申告加算税が課され、５０万円超え～３００万円以下の部分は２０％の無申告加算税が課されます。

また、３００万円を超える部分については、３０％の無申告加算税が課されます。

重加算税は、過少申告した場合や無申告の場合で、隠蔽や仮装がある場合に、過少申告加算税や無申告加算税の代わりに課される税金です。

申告書を提出している場合で仮装隠蔽があると、原則として相続税の３５％が課されます。

申告書を提出していない場合で仮装隠蔽があると、原則として相続税の４０％が課されます。

相続税の納付期限までに税金の納付がない場合に課される税金です。

納付期限の翌日から２か月経過する日までに納付をした場合、年「７.３％」と「延滞税特例基準割合+１％」のいずれか低い税率が課されます。

令和６年１月１日から令和６年１２月３１日までの期間は、延滞税特例基準割合は年１.４％なので、税率は２.４％となります。

納付期限の翌日から２か月経過した日以後は、年「１４.６％」と「延滞税特例基準割合+７.３％」のいずれか低い税率が課されます。

令和６年１月１日から令和６年１２月３１日までの期間は、特例基準割合は年１.４％なので、税率は８.７％となります。

参考リンク：国税庁・延滞税の割合