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住宅取得資金の特例に関するQ&A

  • 文責:所長 税理士 古田裕佳
  • 最終更新日:2023年2月22日

住宅取得資金の贈与の特例とはどのようなものですか?

住宅取得資金の贈与の特例とは、簡単にいうと、両親や祖父母から子や孫に対して、住宅の取得や増改築等にかかる金銭の贈与について、一定の金額まで贈与税がかからない(非課税となる)という制度です。

非課税となる部分は、贈与を受けた者ごとに、省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までであれば、住宅取得資金の贈与が非課税となります。

たとえば、住宅取得資金の特例を使わずに、1000万円の贈与を受けた場合、贈与税が177万円かかるのに対し、省エネ等住宅の取得のために1000万円の贈与を受けたとして特例を使うことができれば、贈与税はかからなくなります。

このように、住宅取得資金の贈与の特例を使えるかどうかによって、贈与税の金額が大きく異なります。

なお、住宅取得資金の贈与の特例は、頻繁に適用できる要件が変更になることがありますので、必ず、最新情報をご確認ください。

住宅取得資金の贈与の特例を使う要件を教えてください

住宅取得資金の贈与の特例を使う場合、基本的に①贈与を受ける人(受贈者といいます)の要件と、②住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件があります。

①受贈者の要件としては、受贈者が贈与を受けた時に、18歳以上であること、贈与が両親や祖父母から子や孫に対する贈与であること、受贈者の贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1000万円以下)であること等です。

②住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件としては、新築や中古住宅を取得した場合は、新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること等です。

なお、制度や特例が使える要件の詳細は、国税庁のホームページをご参照ください。

参考リンク:国税庁・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

住宅取得資金の贈与の特例を使う場合の注意点はありますか?

よく勘違いされる点として、贈与税が0円になっても、必ず申告が必要になる点です。

「税金がかからなければ申告も不要」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いですので、必ず期限内に申告を行ってください。

申告の期限は、贈与した年の翌年2月1日から3月15日までです。

仮に、期限が過ぎてしまった場合、特例を使うことができず、通常通りに贈与税を納める必要があります。

たとえば、住宅取得資金として親が子に500万円を贈与したが、子が申告を忘れていた場合、子は48万5000円もの贈与税を納める必要があります。

そのため、忘れずに申告するようにしましょう。

住宅取得資金の贈与の特例を使う場合のデメリットはありますか?

住宅取得資金の贈与の特例を使った場合、小規模宅地等の特例を使った場合よりも相続税が高くなる可能性があります。

そもそも、納める相続税を安くする特例の中に、小規模宅地等の特例というものがあり、この特例は簡単にいうと、土地の評価を最大80%減額できるというものです。

たとえば、1億円の土地に小規模宅地等の特例を使った場合、その土地の価額を2000万円として評価することができ、結果として遺産総額が8000万円ほど低くなるため、その分、相続税も安くなります。

この小規模宅地等の特例について、いくつか適用できる場合が異なりますが、その中に、自宅不動産を持っていない相続人が土地を相続することが要件となっている場合があります。

その場合、住宅取得資金の贈与の特例を使い、不動産を取得してしまうと、結果として小規模宅地等の特例が使えなくなってしまいます。

そうなってしまうと、せっかく小規模宅地等の特例を使い、相続税を抑えられたにも関わらず、相続人が自宅を持ってしまったために、相続税が小規模宅地等の特例を使った場合よりも高くなる可能性があります。

このように、住宅取得資金の贈与の特例を使う場合は、相続税のことも考えて行う必要がありますので、特例を使う場合は、一度、税理士にご相談されることをおすすめします。

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